| 2006.9.29 |
聴導犬&介助犬育成
〜テキサス・ヒアリングアンドサービスドッグ協会〜 |
今回ご紹介するのは聴導犬兼介助犬の団体、テキサスヒアリング・アンド・サービスドッグアソシエーションです。以前、サンフランシスコの聴導犬育成プログラムについてご紹介しましたが、今回は聴導犬と介助犬の両方を育成する団体の紹介をします。
この団体では、以前聴導犬のみ育成をしていましたが、現在は使用者のニーズに合わせ、聴導犬と介助犬両方の訓練をし、無料で提供しています。聴導犬は聴覚障害者にドアのノック、火災探知機、電話、子供の泣き声などを飼い主を触って誘導し知らせる犬です。介助犬はドアを開閉したり、車椅子を持ってきたり、落ちたものを拾う、スイッチを点けたり麻痺した手足を動かしたりその個人に応じた任務をします。聴導犬と介助犬両方の仕事を教えるのは、混乱したり無理があるのではないかとお思いになるかも知れませんが、どちらも同じトレーニングです。
この団体に専属のトレーナーとして雇われているのは3人程度で、訓練に携わる人の殆どがボランティアです。中には職業としてトレーナーをしていたのをリタイアしたのでボランティアでトレーニングを手伝っているという方もいらっしゃいました。盲導犬は選定がしやすいように繁殖プログラムを組まれることが多いですが、聴導犬に関しては捨て犬保護施設から譲り受けた犬を訓練するのが一般的です。大きさは中、小型でシャイではない犬が向いています。この団体の訓練の方法は全て褒めることで教え、リードを引くなどの罰は一切使いません。
作業に適した犬の選定は、活動性の高い犬をシェルターから探して用います。元々作業をする為に作られた犬種などは、一般家庭に飼われると、エネルギーが有り余って物を破壊するなどの問題を起こすことがあります。こうした一般家庭では問題犬となりがちな活発な犬を選び、犬の好きな物を使って、犬に自発的に作業させます。犬が好んで仕事をするので、トレーニングは犬にとっても楽しく、QOLの向上にも繋がっているようです。
日本でも補助犬の協会が沢山ありますが、活動できるトレーナーの数は限られています。この団体では、様々な立場の人がボランティアとして関われるよう、情報提供やボランティアプログラムを用意しています。この様な、一般ボランティアやトレーナーが情報を得て、育成に協力できるようなオープンな組織が日本にも増えてくれるとよいと感じました。
| 2006.9.15 |
アメリカのデイケア施設“From the heart”
オーナー・Barbara DeGrootさん |
近年、日本でも広がってきた、犬のデイケア。日本では、犬の幼稚園という形態で増えています。ペットホテルと違い、日中だけ預かり、夕方にはお返しするというサービスです。
今回ご紹介するデイケアFrom the heart Dog Trainingは、カリフォルニア州のモントレー湾近くのサリナスという田舎町にあります。オーナーはトレーナーのバーバラ・デ・グルートさんです。彼女はAPDTという世界最大のドッグトレーナー団体の立ち上げに関わり、全米各地で獣医師やトレーナー、企業向けに犬の問題行動やビジネス、シェルターに関するセミナーを行うなど、とても経験豊かな方です。
このデイケアを始められたのは10年前です。From the heartという名前を和訳すると、「心がこもった」となるでしょうか。犬に優しい扱いを、という意味が込められているそうで、30年前から先駆けて褒めてしつけるトレーニングを行っておられます。
元々はトレーナーとして長く犬と付き合ってきたバーバラさんですが、当初、週3日程度ということで、日中のお預かりを始めたのが、人づてに広がり、一ヶ月もしないうちに後には引けなくなって、大きなデイケアを経営するに至ったそうです。
ここの施設は1万スクエア・フィート(約930平方メートル)の屋内施設で、駐車場と犬用トイレ、アジリティ犬具、裏には草地、シャワールームまで完備されています。施設には常時トレーナーが3人おり、管理されています。基本的には子犬時にパピークラスから参加した方がそのままデイケアに継続して通うようなシステムです。施設を開いて10年で一度も酷い口咬事故が起きていないというのも良く管理されているという証拠でしょう。
バーバラさんは、初めてお会いした時から、とても楽しい方という印象でした。ほぼ週7日勤務で従業員も抱えて忙しいのに、地域のシェルターでの保護活動や、去年のハリケーン時には遠くルイジアナ州までボランティア活動を行うなど、社会貢献も忘れません。
包容力のある明るい方で、人や犬が自然とついてくるのだと思いました。
アメリカはペット先進国という印象がありますが、田舎ではそれ程普及していないことも事実です。サリナスはとても小さな田舎の町で、家もとても広いです。庭が広いから散歩が要らない(!)とか、田舎で人や犬にも会わないから社会化の必要性を感じないという人も多いのです。
このような田舎でどうやってペットビジネスを繁盛させられるのかと疑問に思いましたが、これはバーバラさんが地域のレベルを上げたというのもあると感じました。彼女によると、人々は都会に出るのには遠いので、趣味として犬にお金を投じる方も多いそうです。 このデイケアでは子犬、青年期、成犬のしつけ教室、行動カウンセリング、足跡追及やフライボールといったドッグスポーツのクラスも開いています。その他、簡単なグルーミングサービスもあり、とても便利です。
| 地域や業者への教育、社会貢献活動を行うバーバラさんは、まさに私の目標とするようなトレーナーさんです。私も是非日本でこのようなデイケアを開いてみたいなと感じました。 |
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○アメリカ初の公認ドッグビーチ
今回は、アメリカのカリフォルニア州南部サンディエゴのオーシャン・ビーチにある、ドッグビーチについてお伝えします。
こちらは全米でも有名な30年の歴史を持つ、全米で最初の公認ドッグビーチです。
ビーチは市で管理されていますが、このビーチを後世に残す為に市民団体も作られ、フンの持ち帰りの徹底や、ビーチで起こるトラブルへの対処をするなどのサポートをしています。愛犬家が自分たちで犬の為により良い環境を作って行くというのは素晴らしい事ですね。
アメリカでは、犬の公共施設への受け入れが認められているようなイメージがありますが、きちんとした決まりがあり、限られた公園や規則を守った上で犬と利用できるようになっています。日本以上に咬傷事故で裁判が起こる国なので、真剣に考えている印象を受けます。その一つがリーシュ・ローです。
○リーシュ・ロー(リードの規則)
アメリカでは、それぞれの地域が州立法もしくは条例によって犬の扱いを規制しています。
リーシュ・ローとは、犬のリードの長さや放せるかなどを定める物です。
地域によって異なるので詳細は省きますが、サンディエゴでは、例えば伸縮自在のリードや、ロングリードの使用は長すぎるので不可なのだそうです。ちなみにこのビーチ内ではオフリード可能です。
○喧嘩が起きない
ドッグビーチには夕方から沢山の人と犬が集まります。
これだけ沢山の知らない犬が集まって同じボールに向かって走っていても喧嘩はあまり起こりません。サーファーも飼い主たちの考えに賛同して、好んでこのビーチを共用しているそうです。 |
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大型から小型まで、仲良く遊んでいます。
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○マナーの徹底
犬の先進国アメリカでも、海で流されるからといってフンの始末をしない飼い主も見られます。たまたま旅行でここを訪れたアメリカの友人から、このビーチが空いていたので犬用だとは知らずに泳いでしまい、ウンチを踏んでしまったというエピソードを聞いた事がありました・・・!
リードを放していても、いなくても、愛犬には常に意識を向けている必要があります。
規則を守り、犬が認められるような社会にしていきたいですね。
 
これはサンディエゴといえば必ずといって良い程観光に行くシーワールドです。大きなシャチのショーは圧巻です!
| 2006.8.15 |
アメリカのスタンダード・シュナウザーのブリーダー、
ジャネット・ナカシマさん |
こんにちは。日本でも子犬の販売に関する法律が改定されているなど環境は改善され、繁殖はタイムリーな話題ですね。今回はアメリカでシュナウザーのブリーダーをしておられる、ジャネット・ナカシマさんの犬舎にお伺いしました。
○スタンダードシュナウザーとは
ジャネットさんは日本では珍しい、スタンダードシュナウザーを繁殖されています。日本で一般的に見られるのはミニチュアシュナウザーで、スタンダードは中型です。大型はジャイアントシュナウザーがあります。どれも活発でとても利口な犬種です。スタンダードはシュナウザーの中でも全ての原型となったタイプで、最も健康で運動能力も高いといわれています。
○繁殖のきっかけ
ジャネットさんは自宅で全ての犬を室内飼い(!)されています。全部で現在9頭+子犬6頭がいます。
ジャネットさんが最初のシュナウザーを飼い始めたのは14年前、繁殖を始めたのはその二年後からだそうです。ジャネットさんがブリーダーになったのは、子犬が好きだからという理由からだそうです。
子犬は可愛いとはいえ、ブリーダーは大変な労力が必要です。それでも、ブリーダーの仕事で何といっても一番難しいのは、良い飼い主さんを見つけることだそうです。
ブリーダーは、一腹の子犬の中から、良い犬を見つけないといけません。
犬の成長する過程を学んだので、今では良い犬が見抜けるようになったそうです。
繁殖を始めた当初は、犬を長い間手元に置きすぎていましたが、今は適時に譲渡できるようになったそうです(注:日本では早く譲渡しすぎるのが問題になっていますが、アメリカでは成犬譲渡も良く行われます)。
○スタンダードシュナウザーの向く家庭
シュナウザーは都市部で飼い、散歩したり、トレーニング教室に通う(アメリカは庭も広く、散歩しない人も案外多いのです!)、何か作業をさせて犬を退屈させないような家庭に向いているそうです。単なる家庭犬には向いていないのです。またスタンダードは活動的ですがミニチュアよりは大人しいそうで す。ただ、しつけ教室などに通わないと退屈さで物を破壊することも勿論あります。子供のいる家庭でも十分飼育可能だそうです。とにかく、遺伝的にも健康であること、これがトレーニングをすることを更に促進すると考えて繁殖しているそうです。トレーニングを行わないと問題が起こるので、パピークラスへの参加を求め、成犬まで続けるよう飼い主に伝え、子犬の価格に50ドルのデポジットを加えており、CGCテスト(日本では優良家庭犬普及協会の行うテスト)や、子犬クラスの卒業証明書を見せれば返金されるシステムをとっているそうです。これは素晴らしいシステムです。
日本でもこうした子犬料金にしつけ教室代金を加算する方法が始まってきたと聞いたことがあります。このようなトレーニングが必要な犬種は特に、代金を加えることが必須ではないかと思います。犬のしつけは飼い主さんの生活に直結しています。売るだけ売って、アフターケアがないようでは、周りの人も犬を飼いたがらなくなりますし、それこそサービス不足と思えてなりません。これから日本でもどんどんこうした制度が広がっていくといいと思います。
 
シュナウザーはトレーニングが難しいといわれるので、汚名返上の為に・・!
日本だとミニチュアしかみませんが、スタンダードの方が飼いやすいみたいです。
| 2006.8.1 |
アメリカ サンディエゴ発 “カリスマ”日本人トリマー
KM DOG 中島かおるさん |
○メキシコに近い南の街
今回はアメリカ、サンディエゴのメキシコに近いチュラビスタという街にある、中島かおるさんのトリミングサロン、KM DOGにお邪魔しました。チュラビスタは、閑静な住宅街にあります。
○中島さんとの出会い〜お店を開くまで
私と中島さんとの出会いは10数年前に遡ります。高校生だった私は、あるペット雑誌の記事を見て、中島さんにお手紙を書いたのが始まりでした。物心ついた時から犬を志し、訓練所などどこへでも行って学び、アメリカへ渡った−その経歴は憧れでした。引越しなどの関係で連絡が途切れてしまいましたが、今回、偶然ネット上で中島さんの名前を見つけてお会いすることになったのです。
当時、カリフォルニアのトリマーの下で修行されていた中島さんは、とにかく一流を目指し、様々な有名トリマーについて学び、そして、10年前にKM DOGを開店されました。そのきっかけは、妊娠をして体調が悪くて雇って貰えなかったからだと聞いて、更に驚きました!開業当初は外国人だし、体調も悪くて可哀想だということで、なんと大家さんは水道代もタダにして下さったそうです。お店も全て手作りです。こうして運にも恵まれ、晴れて好条件の場所にお店を構えることができたそうです。
○お店のポリシー
KM DOGはいつもお客さんでにぎわっています。その秘訣は、お店のポリシーに関係していると思います。このお店はとにかく犬とお客様を一番に考えて運営しています。中島さんは、「犬が綺麗だと人に触って貰える、だから出来るだけ多くの犬を綺麗にするにはどうしたらよいのか」と考えておられるそうです。
また、お客様とコミュニケーションを取り、教育するのも大事なお仕事の一つと考え、日常的にお手入れやトレーニングに至るまで指導するそうです。店を繁盛させる為の話術も身に着け、中には毎日グルーミングに来るワンちゃんもいるとの事です。
お店を繁盛させるには、幾ら優れた技術があっても、トリマーが偉そうだとお客様がつかないので、人当たりが良く、且つ犬に好かれる事が重要だといわれていました。 犬に好かれる方法を知らない限り、技術も向上しないそうです。これは当然のようで、実はとても難しい事です。というのは、どうしても早く仕事を済ませようと事務的にこなしてしまうことも多いからです。
そして、それを証明する事実として、KM DOGでは開店してからどんな噛みつく犬が連れてこられても、一度も咬傷事故がおきていないということでした。これには圧倒されました。もし極度の怖がりの犬が来たとしても、1,2日貰い、お店に慣らしてからトリミングされるそうです。咬傷事故が犬を安楽死に導くこともあるので、犬に人を咬ませてしまうこと自体が犬の生命を危うくするのだから、咬ませること自体おかしいとのお話でした。この様な配慮は、技術と、本当に犬とお客様の事を考えていなければ出来ないことです。
○ 日本とアメリカのトリミングの違い
トリミングには二種類あり、一つはペットスタイリスト、もう一つはペットグルーミングに分かれるそうです。前者はショーとペットの中間、後者は生活の為のお手入れだそうです。日本はかつてアメリカよりもレベルが高いといわれていましたが、現在はスクールの卒業生が経験不足のまますぐ店舗を展開するなど、レベルは落ちてきているとの事でした。
現在、日本ではグルーミングは安価でありながら、お客様には高い技術を要求されるという状況です。ところが、アメリカの場合、歩合制で、技術に応じて料金も変わってきます。日本ではペット業界はまだまだ低賃金であることが多いですが、アメリカではトリミングだけで何兆円というビジネスであるそうです。日本の業界も変わっていくべきだといわれていました。
○常に課題を追い続ける
中島さんは「常にボランティア精神を持つこと」「時代に合わせて常に課題を見つけること」を目指しています。
仕事としてやっているとどうしてもお金のことを考えてしまいがちですが、顧客もいて安定した収入を持つ今は、いかに安く、質の高い技術を提供できるのかを考えているそうです。その為に、愛情は100%出しても、技術は100%出さないそうです。それはお客様に、安価でサービスを提供する為だそうです。
そして、こうした価格調整も、他店のトリマーとミーティングを行い、同業者同士で情報交換するそうです。こちらがオープンにすると向こうもオープンになるとの事です。技術職はどうしても閉鎖的になりがちですが、こうした同業者との関わりは、業界全体の底上げに繋がるので大事だと強調されていました。また、業界の底上げに繋がる、教育者としてのボランティア活動も欠かしません。
中島さんを一流のトリマーにしているのは、トリミング技術だけではない、犬やビジネス、接客などに関する総合的な知識と経験の深さだと思いました。トレーニングや接客に関しても精通しておられます。そしてネットワークの広さです。現在、中島さんは全米でセミナーを行っています。知識の為ならどこへでも行き、学び続けるというバイタリティです。プロとは、一生追及し続けるものなのだと感じました。

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