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ペットお役立ち情報 インストラクター高井牧の海外レポート

高井写真 ■高井 牧 プロフィール
平成13年、神奈川県奨学生として、イギリス動物福祉団体NCDL(現DogsTrust)にて行動トレーニング・アドバイザー研修、センターで保護犬のリハビリ訓練にあたる。 
平成16年、SF/SPCA Academy for dog trainersとTriple Crown Dog Training Academyを卒業。
アメリカ、イギリスの動物保護施設や、世界的第一人者であるトレーナー、ジーン・ドナルドソンの元で学ぶ。現在専門学校の講師やインストラクターとしての活動の傍ら、大学院にて動物心理学を研究。

サンフランシスコ愛護協会公認 ドッグトレーナー・カウンセラー。
アメリカ家庭犬訓練士協会(APDT)会員


2007.3.30 ドイツの犬事情(後編)

前回に引き続き、今回はドイツで犬と楽しめるアクティビティや、犬のブリーダー(繁殖業者)についてご紹介します。

●ドイツの人はどう犬を買うか?
ドイツにはペットショップがなく、スーパーでペット用品を売っているだけです。犬はブリーダーから直接購入します。不要犬をシェルターなどから譲り受ける場合、150〜250ユーロ(約2万3千〜3万9千円)の保険費用を払います。これは犬を実験用に売るのを防ぐ保険です。

●厳しい血統書登録制度
ドイツの血統書登録団体の一つに、DVHがあり、殆どの犬がVDHに属しています。ドイツでは、ブリーダーに資格制度はありませんが、会員のブリーダーはその規定を守らないといけません。VDHの登録犬はドッグショーで3度審査されて初めて純血犬とみなされます。加えて股関節、視力、忍耐力テストを行います。
VDHの職員はブリーダーの元で、子犬を8週齢で目や忍耐力のチェックをし、純血犬として認めます。例えば雌犬の飼い主が経験なしに愛犬を繁殖したいとすると、その犬はブリーダーのところに期間中置いておかねばなりません
VDHの会員でないブリーダーの繁殖犬は、保証や健康チェックやアフターケアがありません。東ヨーロッパから密輸された犬の可能性も高いそうです。 

●犬を飼ったら
飼い主は犬をそのエリアで登録され、殆どの町では犬税を払わねばなりません。町により料金は異なります。私は二頭の愛犬に140ユーロ(2万2千円程度)を払っています。
危険な犬種のカテゴリーに入る犬を飼っている場合、税は高くなっています。州により、危険な犬種のリストがあります。その犬種はリードを付け、公共の場では口輪が必要です。また、この犬種の飼い主はトレーニングコースとテストを受けなければならず、犬を扱えることを示さねばなりません。そして初めて犬を飼う許可が下り、許可証が発行されます。

●ドイツの飼い主
ドイツ人の大半は犬についての知識があり、動物を優しく扱います。また、ドイツでは犬に洋服を着せたり、アクセサリーなどをつけることはありません。
しかし、どの国でも同じですが、問題はあり、社会化不足などが原因で他の犬と全く協調できない、攻撃的な犬もいます。飼い主によっては犬に対し理解がある一方、過保護にしたり、犬について学ぼうとしない人もいます。ある飼い主は奴隷を持ちたいとでも思っているのでしょうか、よく若い男性が犬を乱暴に扱うことがあります。 もっと酷いのは、子供へのクリスマスプレゼントで犬を買い、トレーニングもせず、それが成長して問題を起こし、夏休みにどこかで休暇を取る時、森に繫いで捨てられることもあります。

●犬と楽しめる遊びなど
多くの人は週末オフリードで走れる田舎道までドライブし、ハイキングを楽しみます。しかし、森で気をつけなければいけないのは、愛犬が野犬と間違えられ、猟師によって撃たれることがあることです。サイクリングは良く行われます。この他、川に泳ぎに行く、アジリティ、ドッグダンス、ハンティング、牧羊犬のトレーニングに参加する、長期休暇に犬と一緒に別荘に行く、などがあげられます。

以上、ドイツの犬や飼い主の様子が少しお分かりいただけたでしょうか。
インタビューの最後に、バーサさんは素晴らしい言葉をくださいました。

「犬をトレーニングする上で大事なのは、飼い主も教育されなければならないということだと思っています。私達は、何故犬がこの行動を取っているのか、背景にある理由を考えなければなりません。犬にただ要求するだけでは、犬とってフェアではなく、無意味だからです。私達は犬を親友と呼び、奴隷のように扱う事は出来ません。私達は彼らの自然な行動を尊重し、そして犬が納得するように伝える必要があります。」

私も全く同感で、犬に対する思いは世界共通だと感じました。


実は、今回で海外の犬レポートは最終回となります。世界の犬を通して、犬という動物を様々な視点から捉えたいと思い、取材してきました。
犬はどの国でも存在し、人間と生活した歴史があります。純粋無垢な子供は、犬を恐れることはまずありません。犬が好きだということは、人類にとって、自然なことといえるかもしれません。
取材を通して、愛玩犬から使役犬まで、様々な犬と人に出会うことが出来ました。犬との関わりは、人に、他者への思いやり、共存など、忘れかけた様々な事を教えてくれる気がします。これからも犬を通して、人がより思いやりを持ち、助け合うことが出来ればと願っています。
今まで、ご愛読ありがとうございました。

2007.2.15 ドイツの犬事情(前編)

今までアメリカを中心のレポートを書かせていただきましたが、今回はアメリカを離れ、香港出身で現在ドイツ在住のオールドイングリッシュシープドッグを二頭飼われている、バーサ・カーストさんにお話を伺いました。
私自身はドイツに行ったことは一度だけ、一週間程度の滞在でしたが、犬が街に溶け込んでいて、受け入れられている印象を受けました。今回はバーサさんのご協力を得て、主にドイツの社会における犬の受け入れやトレーニングについてご紹介したいと思います。

ドイツの犬に関してお話することは沢山ありますので、少しずつご説明したいと思います。

●ドイツのペットと公共の場での犬の受け入れ
家を持ったら、これは一種の文化ですが、ドイツ人は犬を飼いたがります。殆どの人は動物好きで、犬や猫、馬、羊、ヤギ、牛、ウサギ、ニワトリ、ロバ、ハチなどが一般的です。小動物は裏庭で、馬や牛といった大動物はどこか近場に土地を持って飼われています。
様々な犬が大きさに関わらず、レストラン、公園、空港、フェリー、電車、タクシー(大型犬はバスに乗ります)デパート、そしてショッピングモールに入ることができます。ホテル、そして貸別荘では場所によって犬が入れる所とそうでない所があります。肉を売るスーパーやお店に犬は入れません。
ドイツでは犬はビーチに入れませんが、犬専用のビーチがあります。交通機関に関しては、犬を連れて行くのに全く問題がないと思います。というのは殆どの人が頻繁に車を使うからです。

私が知る限りでは、西ヨーロッパの方は動物と環境に関して配慮していると思います(西と東で違います)。動物をよく扱っていて、例えば毛皮のジャッケに反対し、酷い犬の飼い主も沢山います。平均的にはよく知識を得ています(少なからず香港に比べては良いです!)。そして犬に時間とお金を掛けていますね。

●トレーニング

子犬の飼い主が社会化の為にプレイグループに参加させるということはよく聞きます。そして、基本的なトレーニングコースにも参加していますね。殆ど毎日散歩に連れて行っており、飼い主の多くは愛犬が他の犬と遊ぶ姿を見るのも好みます。

トレーニングスクールやプレイグループは沢山あります。近くでそういったものを探すのに困ることはまずないです。 私の近くにある教室について説明すると、基礎、からアジリティまで沢山の教室を用意しており、食べ物や褒める方法でトレーニングします。でも中には酷い強制的な方法の教室も見たことはありますが!
また、バケーション・トレーニングスクールといった、合宿のようなタイプもあります。愛犬と共に1−3週間滞在し、自然の中でトレーニングコースに参加することができます。 

私の個人的視点からですが、GSD,ロットワイラーといった犬の飼い主は比較的犬に対する要求が高い気がします。よくGSDは護衛犬としてトレーニングされますが、適切に、もしくは不適切にトレーニングされ、それが何らかの形で事故に繋がることがあります。例えば、飼い主が腕を上げると犬が咬む、などです。
問題の原因の殆どは飼い主側にあり、知識不足で、そして勉強が必要ないと思っている人もいます。問題の殆どは飼い主で、犬側ではありません。


●パピー教室について
また、子犬の為の パピー教室はとてもよく知られています。
殆どの飼い主は子犬を他の犬と接触させます。しかしながら特に小型犬の飼い主においては、そういったクラスに参加させず、攻撃的だったり、吠えるといった問題を引き起こしていることがあります。

ありがとうございました。次回は、愛犬と楽しめるスポーツやブリーダーについてお話をお伺いしたいと思います。

2007.2.1 アメリカレポート 牧羊犬のトレーニング

今回は、アメリカ西海岸の北、ワシントン州ボウ在住でBear’s Dog Shopを主宰しておられるトレーナーのジャン・ウェセン先生をレポートします。
私がジャンさんに初めてお会いしたのは1998年、アメリカに留学していた時です。ジャンさんは、アメリカ各地で牧羊犬やアジリティ、トラッキングなどのセミナーを開いておられ、ヨーロッパなど海外からも牧羊犬について学ぶ留学生を受け入れています。

○広大なトレーニング環境
ジャンさんは旦那さんと350頭もの牛、羊、アヒルを飼う牧場を経営しています。その牧場には併設された広い犬舎と屋内トレーニング施設があります。飼育している犬は全て牧羊犬種で、オーストラリアン・ケルピー、オーストラリアン・シェパードなど10頭います。牧羊犬以外にも、フライボール、アジリティ、オビディエンス、トラッキングを教えています。最初お会いした時、とても明るく、そして犬を楽しませる才能に恵まれた人だな、という印象を受けました。犬10頭だけでも大変なのに、物凄いバイタリティです!
ジャンさんはトレーニングを始めて18年になります。牧場で円滑に作業する為に、牧羊犬のケルピーを飼ったのがきっかけです。しかし、今ではその牧場の仕事以上に、犬のトレーニングから離れられない程、トレーニングにはまってしまったそうです・・! 

○シープハーディング(牧羊犬)のクラス
私がジャンさんのクラスに参加していた時、オーストラリアン・シェパードのバスター君を渡されました。彼は牧羊以外のトレーニングはしたことがなく、教室が始まると、よだれダラダラで、それはそれは大興奮でした!というのも、彼は生粋の牧場の犬で、生まれて一度もオヤツを与えられたことも、家庭犬のトレーニングも受けたことが無かったのです。その後、羊のいる牧場でバスター君を渡されたら、何も指示しないのにまるで犬が変わったように羊を私の足元にまとめてくれて、とても感動しました。犬と羊の位置を見ながら、バランスを取りつつまとめるのは、まるでゲームのようで面白かったです。

皆さんの中で牧羊犬についてご存知でない方は、一体牧羊犬はどうやってトレーニングされるのか、ご褒美はどう使うのか、など不思議に思われるかも知れません。牧羊犬にとっては、羊を追うこと自体がご褒美です。牧羊犬は元々本能的なもので羊を囲うので、それを利用しコントロールしていきます。当然、犬は家畜を決して傷つけてはいけません。声の指示(右回り・左回りで羊を囲う、前進する、伏せる、後退、など)とボディランゲージを使いながら、犬を操っていきます。犬は指示に従い、羊飼いの足元に羊をまとめる、飼い主から離れ、遠くにある囲いの中へ羊を誘導する、逃げそうな個体がいたら知らせるといった仕事をします。牧場にとって、犬をトレーニングするということは仕事を円滑に進める為に欠かせないことなのです。

○小型犬も牧羊犬に?
牧羊犬のトレーニングをする際、特定の犬種に限るトレーナーは多いですが、彼女はどの犬種も教えることができます。例えば、一般的にテリアは牧羊犬には適さないといわれていますが、彼女の生徒には、ボーダーテリアもいます。今度、私の飼育しているパピヨンをトレーニングして下さるということで、今から楽しみです。

2007.1.15 アメリカのパピートレーニング教室「シリウス・パピートレーニング」
ナンシー・ウェラーさん

今や世界で行われているパピー教室ですが、これを最初に始めたのは、以前ご紹介したイアン・ダンバー博士です。彼はトレーナーを集め、シリウスパピートレーニングというパピー教室をアメリカ各地で行っています。そのシリウスの中でも人気のあるトレーナー、ナンシー・ウェラーさんの教室を訪ねました。

ナンシーさんは私の卒業したサンフランシスコ愛護協会のトレーナースクールの先輩です。現在は、カリフォルニア州サニーベル周辺で教室を開いています。
彼女は以前からドッグショーで愛犬を出陳し、シェルターのボランティアなども行われていて、現在はトレーナーをされています。トレーナーになった当初は捨て犬を無くすべく、問題犬の行動修正をやりかったそうですが、現在はより多くのパピークラスを行い、問題犬を未然に防いでいきたいという考えに変わったそうです。成犬になってから治すより、子犬の時から問題を起こさぬよう育てるがよっぽど楽で効果があるからです。

彼女は元々エアロビクスのインストラクターを15年も行っていました。その為か、クラスは楽しく、活気にあふれています。彼女は家庭犬のトレーニングクラスは、完璧さを求めず、楽しさを追求した方が良いと考えているそうです。家庭犬は多少綺麗に出来なくても良いし、楽しむ事の方が大事だと私も考えています。それに、子犬においてはまだ何をすべきか教わっていないので、怒るより褒めて教えるに徹した方が良いというのは全く同感です。

シリウス・パピートレーニングにはパピー1という子犬クラスと、パピー2という若犬のクラスがあります。この日見学に行ったクラスは、まだ不安そうな第一回のパピー1のクラスと、この日卒業をするとってもエネルギッシュなパピー2のクラスでした!若犬は、人間でいうとティーネージャーで、元気が良すぎて、時には扱いにくくなる事もあるのです。これで卒業できるの?と飼い主さんたちは心配そうでしたが、これだけのエネルギーを持った犬たちが仲良く遊べて、コントロールできるというのは実は凄いことです。フードなど、犬の好きな物を使い、子供から老人まで元気の良い、かなり大きくなっている若犬をリードなしで号令や、楽しくついて歩くように教える姿は微笑ましかったです。

クラスの最後には卒業式に立ち会うことが出来ました。卒業証書を渡され、一芸を披露するのですが、皆さん様々に着飾って、ちょっとしたファッションショーのようで楽しかったです。(写真が良く映らずお見せできないのが残念です・・!)

日本でもパピークラスが広まっていますが、残念ながら教室は問題のある犬が通うもので、子犬からパピー教室に通うことが飼い主の責任だ、という意識はあまり持たれていないのが現状かも知れません。アメリカではシェルターから子犬を貰う人が大半で、里親の多くは教室に通うことが義務付けられていて、シェルターで教室を開催している所が多いのも普及している理由かも知れません。日本でも今後更にパピー教室の重要性が認識されていく必要があると感じました。


2007.1.15 シリコンバレーのシェルター、HSUSシリコンバレー

この連載でシェルターの話題を書かせて頂いていますが、今回もシェルターを選んだのは、以前ご紹介した他の施設と比較して頂きたかったからです。

アメリカのシェルターというと、日本と違って財政的基盤があり美しいという印象があります。しかし、今回ご紹介するシェルターは前回の施設に比べ、施設は老朽化しています。外見は古いですが、内部には専門知識を持ったスタッフが施設を最大限利用し、最新の情報を取り入れて動物の管理に当たっています。

○ 西海岸でも有数の大規模シェルター
このセンターは年間約2万頭もの動物を収容し、毎月約250頭の動物が譲渡されています。
ここは全ての動物を収容するので、安楽死も行うというポリシーです。というのは、一般的に安楽死を行わないシェルターは、深刻な問題行動のない犬や、譲渡されやすい犬だけを選択して受け入れていることが多くあるからです。収容動物も犬猫のほかにうさぎや例外的に鳥や野生動物などの小動物も収容するなど多岐に渡ります。24時間365日稼動しており、中には獣医師が常駐するなど充実しています。また専用車で避妊去勢手術、マイクロチップ装着などを施したり、その他、青少年教育活動なども行っています。施設内にはショップ、動物病院、トレーニングルームや、日常生活を再現した家具のある触れ合いルームなども併設されています。

○ シェルタースタッフの教育の充実を
この施設で犬の行動部門の専門スタッフのアリソン・タリーさんにお会いしました。彼女はカリフォルニア大学で行動学を学び、シェルター犬の研究をしていたそうです。実は私も数年前に彼女の研究について読んだ事があったので、とても驚きました。スタッフになってまだ日は浅いそうですが、行動コンサルティングなども行っているそうです。彼女は生き生きとしていて、このシェルターは更に活動の幅を広げるだろうと確信させられました。

○今あるもので何が出来るのか?
このシェルターは、狭い、資金繰りがうまくいかないなどの理由からなかなか理想の環境をもてない日本の団体にはとても参考になるのではないかと思いました。特に、キャンペーンカーの利用は、日本の都心部などのように、場所が持ちにくい地域ではこのような工夫が必要かも知れません。
他にもキャンペーンカーで貧困層の飼い主にサービスを提供したり、無料で首輪や名札などを配布する団体もあると聞いたことがあります。アメリカでは警察や動物保護調査員による徹底した動物保護のパトロールが行われていて、罰せられる事もあるので、相談を避ける一面もあります。保護団体に来る飼い主を待つより、団体側から様々な形でアプローチすることで信頼を受け、身近な存在となり、何か問題が起きたらペットを放棄する前に相談される可能性が高まるそうです。動物保護をするということは必ずしもシェルターを持つ必要はないのです。私も、身近な所で活動を始められないか、考えさせられました。


2006.11.15 ペットドッグトレーナー協会年次大会レポート(前編)

9月13日〜17日にアメリカミズーリ州カンザスシティにて、第13回ペットドッグトレーナー協会(APDT)の年次大会が行われました。

今年は日本でJAPDTが発足するとあって、主催者のレッドハート社から奨学金を得て派遣された方々など、日本から6名もの参加者がありました。

私がこの大会に初めて参加したのは98年ですが、年を重ねるにつれ、団体の規模も大きくなり、テーマも大分変わった気がします。

今年の特徴は、初めての参加者が多かったこと、またセミナーのトピックも犬の起源や遺伝に関してなどアカデミックな内容から、問題行動の修正、経営、健康管理、猫のトレーニング、様々なトレーニング方法を受け入れ、向き合うにはどうしたらいいかといったポリシーに関わることまで多岐に渡りました。各セミナーは新米トレーナー向け、中級トレーナー向け、科学分野に分けられています。昼休みには参加者同士で最新トピックについてディスカッションを行うコーナーもありました。以下、私が参加したものの中で興味深かったものを挙げてみます。


今年のAPDT年次大会のマスコットはテリアです。

●「矯正のないトレーニング方法は犬を甘やかすのか?」
(スーザン・ギャロット)

トレーニングを行う時、犬を静めることに集中していて、それが犬のやる気を無くしてしまうことがあります。彼女は犬に障害を飛ばせて速さを競う、アジリティ競技のトレーナーです。彼女はそんな活発なボーダーコリーを、まるでスイッチを押すように、簡単に活発にし、またぬいぐるみのように大人しくすることができます。

犬はどうしたら自分が欲しいもの(注目、遊びなど何でも)が得られるのか、常に考えています。例えば、食事中食べ物を落としても、犬がその場でじっとしていたらご褒美をあげることで、犬がじっとその場で待つようにするなど、犬が自らやらねばならないような状況を作ってしまうことができる、と説明していました。

犬がやりたくないならやらなくてもよい、という犬のオプションを作ること。その為に犬がやらざるを得ないような状況と、飛びつくようなご褒美、そして段階的に教えることで成功を重ねていくという内容でした。

●「犬の進化とペット犬への影響に関するパネルディスカッション」
(ジェームス・サーペル、レイ・コッピンジャー、ジャニス・コーラーマツニック)

三人の科学者によるディスカッションが行われました。ある目的の為に改良された、例えばボーダーコリーなど牧羊犬種に特有の活発な行動は、他に向けさせることはできても、止めることはできない、それを飼育者に説明する責任があるということ、犬の劣悪な繁殖によって問題行動が生まれているという現状、野生犬や、土着犬の研究データを用いて犬の起源についての仮説を話すなど、とても興味深いディスカッションとなりました。トレーナーは経験によって話すことが多いですが、科学者がデータに基づいて説明するというのは客観的に証明できるのでとても良かったと感じました。

<次号に続く>


開催ホテルからの風景。カンザスシティが一望できます


ブースでは犬具が格安で購入できます。犬同伴不可なので試着できないのが残念。


2006.11.1 アメリカのペットショップレポート

今回カリフォルニアのサニーヴェイルにあるペットショップ、フラッフィー・パピーをご紹介します。このお店はちょっとユニークな品揃えとサービスを行っています。

○実用品主義
このお店は実用的な良い商品だけを置くという特徴のお店です。商品は、プロが見れば直ぐ分かる良品揃いです。その為、量販店に比べると割高ではありますが、品質から考えると安価です。
例えば、フードにしても、無添加で高品質な商品が並び、本のコーナーにはトレーナーが読むような専門書がずらりと揃っています。また犬具のコーナーには、使用法についてのビデオがあり、デポジットとして1日50セント程度でビデオを貸りて、返却するとレンタル料は返ってきます。

○パピークラス
実は、このお店にはもう一つの顔があります。閉店後はシリウス・パピートレーニングという、以前このコーナーでもご紹介した、獣医行動学者イアン・ダンバーの主催する子犬クラスが開催されているのです。元々このお店はしつけ教室を開くことを考えて設計されたので、商品の棚はキャスター付きで、移動できるようになっています。教室開催時は商品棚の下段にはビニールシートをかけているので商品は汚れません。

○地域コミュニティの情報源として
ここの素晴らしいところは、地域コミュニティの情報源として機能していることです。入り口には情報コーナーがあり、保護団体、ペット関連業者のパンフなどが置かれています。また、教室以外に週末になると保護団体による小動物の飼育レクチャーなども行っており、店主ご自身もお話をしたりするそうです。ここにある商品なら信頼して何でも購入できる、そんな印象を受けました。また、驚いたことに、店内には他のペットショップのチラシも置かれていました。店主に尋ねると、このお店は実用性重視で、お洒落なグッズなどは取り揃えていないので、それに関しては他店を紹介したいからなのだそうです。

○顧客へのフォローアップ
日本でもアメリカでも、店員が商品の使い方まで知識のないことは良くあることです。商品をただ売るのではなく、顧客との信頼関係を築き、商品の使い方も教える、そしてしつけ教室などを通して飼い主教育をすることで、ペットに対する意識を高め、社会に受け入れられる手助けをする。またショップが中心となって、地域の情報源、ネットワーク構築の場として貢献するというのは、大切なことだと感じました。

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